花形装飾活字を愛でる その121



結局何を作ったのか。 ここからは庭とか日本的にとかは無しで書きます。 背景としては前回までの内容は正しいのだけど、 実際問題、出来上がったものが、 現在の視点やカルチャーに沿わないというのでは、 意味が無いので、 じゃあ、なんなのよと言う意味も含めて書いていきます。 今回の制作は、 いかに囲まなくても繋がなくても、 1つの紙面の空間を隔てられるかという点と、 隔てたときにいかに差異というか異質空間のようなものを作り上げる事が出来るか、 という点を要に考えて制作しました。 もちろん繋いでも囲んでも大丈夫なのですが、 その時に両方で使えて、 両方の場合にその効果とイメージが変えられるという事にも気を配りました。 それとシンメトリーではなくアシンメトリーに配置した際に、 バランスが崩れない形である事、 その場合に遠くにおいてもその関連性を保てるという事、 逆にシンメトリーに配した時に、 幾何学としての一定のルールを得られる事もクリアの条件としました。 絵や、写真との相性についても、 出来るだけイメージの階層を低く設定しましたので、 邪魔になる事は一切なく、 その上で額としての異質空間への誘導という機能は保持しました。 同時に文字を配したとしても、 額としての機能を維持しつつ被る事なく、 配置によっても対象となる絵や写真との関連性の有無を設定出来るようになっています。 またバランスを工夫すれば、 どちらを主役の情報として扱うかもコントロールが出来ます。 そして、 紙への印刷(とくに活版で)を想定しパスのアウトライン化を行っています。 もちろんモニター上での完結でも使う事が出来ますが、 印刷をした時により魅力が発揮出来るように設計とアウトライン化をしています この点においても西洋的な印刷技術の根本を崩し、 日本における書道の際に墨汁が紙に滲む独特な広がりも再現しています。 最初、版画の際の膠独特な滲みの広がりを再現しようとしましたが、 デザインした図案を木版画作って刷って、 それをトレースといった膨大な作業量が待っている事に気付き断念しました。 けど、図案の数を減らして今度挑戦したいでっす。きっといいと思う。 それはさておき、 デジタルデータですから、 拡大縮小、回転、対称、くっつけたり切ったり、加工編集思いのままです。 その気になりれば上手いこと重ねたら違和感なく1つの図案として使えるようにもなっているので、図案そのものは310種類程度ですが、 その数は無限に増やす事も可能です。 もちろん活字というルールに則って配置しても面白いと思います。 ただ、やはり気を付けなくてはいけないのは、 グラフィックデザインにおいての、 イメージの階層(印刷は抜きにして)についてです。 現在、 絵、写真、文字、 この3つの領域のみが存在し、 いずれかのサジ加減によって、 制作が行われています。 もちろんこれは花形装飾活字が入ろうとも変わる事はなく、 単なる「絵」としての情報のみがクローズアップされるのみです。 重要な事は、 どんなに意味を含ませようとも文章で書こうとも、 グラフィックデザイン上の全ての事象は視覚的な憶測にすぎないのです。 搾取者にとって、 これら制作者の意図や配慮は問題等ではなく、 単に、 目の前にある情報に対してのみ価値があるという訳です。 例えば、 本のグラフィックデザインには情報と等価の視覚的憶測等は存在せず、 本そのものの情報性(作家や作品)のみに集約される存在であり、 それを彩るなんらかのカルチャー的装飾については、 残念ながらグラフィックデザインの域を出ないという結論に達する訳です。 つまり、 美術ではないしアートでもないというものです。 そこで、 新・花形装飾活字「水草」は何を目指したのでしょうか。 何度も書きますが、 単なる装飾なら活字という名前も、 ましてや花形なんて名前さえも必要がない訳です。 あくまでこれは活字による情報群を整理する為のツールであり、 とくに日本語書体をよりかっこよく魅せ、 英字を含むタイポグラフィの在り方に新しい風(アールヌーボのような)を、 吹き込むものであると言い切ってしまいます。 絵や、写真ありきのグラフィックデザインではなく、 文字そのものの美しさを際立たせ一助になるのではと期待もしています。 それと同時に、 この新しい方法論を学ぶ事により、 幾何学のような視覚的魔術からの脱出と、 「デザインとは何か。」といういい加減、 戦後の東京オリンピック以降の高度経済成長期のようなデザイン幻想から、 ぼちぼち目覚めちゃった方がいいんではないかという思いも込められています。 が、 やはりツールです。 使いにくければ意味がありません。 その点に関してはこれから書いていきますが、 これだけは断言しときます。 初心者からヘビーユーザーまで幅広く使えるものに仕上がっています。 使えば使う程に味が出てきます。 ただ、 ずっと西洋のタイポグラフィやグラフィックデザインに慣れ親しんだ人は使いにくいかもしれません。 とくに広告デザインしてる人は躊躇かも。 日頃に友禅や日本画、着物や日本文化に慣れ親しんで、 積極的に関わってる人はすんなり使えると思います。 今回の制作ので最初の理由が、 現在のグラフィックデザインへの疑問の払拭と可能性の模索だったので、 そういう点においては「水草」は成功だと褒めてあげてください。 ただ、やはり使って貰わないと意味がないのでしょう。 今のとこ思いつくだけの書きたい事書いたし、 ボチボチ概要編についてはお開き(思い出したら書くけど)したいのですが、 何故、この金額と文章の文字数なのかは、 次回へ続く。









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